院長の小道が会員制歯科オンラインサロンTHREEE.で講演を行いました。診療後の遅い時間までたくさんの先生方にご参加いただきました。ありがとうございました!
〈院長コメント〉
先日会員制歯科オンラインサロン THREEE. にて講演をさせていただきました。THREEE.というオンラインサロンは「Enthusiasm:情熱を持ち」、「Endeavor:努力し続け」、「Enjoy:楽しむ」という英単語の頭文字Eを取っており、『一人では全ての分野をトップレベルで学ぶことは難しいが、それぞれの分野のトップを目指し日々研鑽している歯科医師が互いを刺激し高め合う目的で活動を行っている』スタディグループです。オンラインサロンの目的としては、「歯科に情熱を持った同志と日々一緒に発信・吸収を繰り返し、お互いが高め合う場とする。」、「全ての分野を常に学び、偏りのない日本でしか提供できない良質な歯科医療を行う。」、「極めたい分野を発見し、その分野を極めていき発信し、他の会員の弱い分野を補う。」、「日本独自の総合的な診断の目を養い、突き詰め、世界へ発信していく。」ことを達成し、生涯、歯科医師として歯科医療を楽しむことです。
今回私は日本歯内療法学会専門医の立場から「Pulp vitality in endo-perio lesion」(=歯髄反応のあるエンドペリオ病変)についての話をしました。エンドペリオ病変は、病変が大きくポケットも深いことが多いため、Hopelessで抜歯と診断されることも多い病態です。今回の講演ではエンドペリオ病変がある歯で、かつ神経の反応があった場合にどう考えて対応するかが前半、そしてその歯の歯周炎が進行したときにいつ抜髄を行うのかを後半にお伝えさせていただきました。
前半のポイントとしては、「神経の反応があるからといってその歯の神経が健常とは限らない」ということです。歯の神経の検査は主に、冷たいものを歯に当てる冷刺激診と歯に電気を流す電気歯髄診で行うことが多いですが、これらの検査はあくまで刺激に対する反応を見ているだけで、実際の神経の状態を正確に反映しているわけではありません。例えば、冠部歯髄は失活しているが根部歯髄は反応がある場合や、複根歯で失活していない根の神経が反応している場合などは見かけ上は神経の反応があるように見えますが、実際には抜髄の適応になるので要注意です。エンドペリオ病変だけ限らずですが、診査診断は非常に難しく、特に先入観にとらわれると診断が困難になることも多いので、色んな可能性を想定することが大切です。
後半では、治療方針によって抜髄のタイミングは変わってくるということを私の症例を提示しながら説明させていただきました。神経由来の痛みや根尖病変ができている場合にはもちろん抜髄の適応になりますが、神経の反応が正常な場合でも進行した歯周病に対して再生療法を行う場合などは便宜的に抜髄をする必要があります。この部分の判断は非常に難しいですが、単に神経を残すことだけで治療方針を決めるのではなく、最終的にその歯の予後を良好にすることを考えて治療方針を決める大切さをお伝えさせていただきました。
エンドペリオ病変は、私も日々の臨床で苦戦することの多い病態ですが、本日の講義を見ていただいた先生方のエンドペリオ病変への苦手意識が少しでも軽減すれば幸いです。診療後の夜遅くまでご参加いただいた先生方(最後発表が終わったのが23時30分でしたが、100名以上の先生にご視聴頂いておりました)、THREEE. の運営の方々にこの場を借りて御礼申しあげます。