こんにちは。兵庫県西宮市にある西宮北口ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
最近はカロリーオフや砂糖不使用の食品が沢山作られており、色々なところで人工甘味料を見かけるようになりました。
今回は、人工甘味料とキシリトールについて歯科の観点からお話ししたいと思います。
もくじ
１．はじめに
人工甘味料とは、化学的に合成されて作られた甘味料で「合成甘味料」と「糖アルコール」の2種類があります。
合成甘味料とは、化学合成によって人工的に作られたもので砂糖の数百倍の甘さがあります。
糖アルコールとは、自然界にあるものから成分を抽出して作られたもので、砂糖と比べて甘さは少なめです。
ガムなどでよく目にするキシリトールは、糖アルコールのひとつです。
そもそも虫歯とは、虫歯菌が食べ物や飲み物の糖分をエサにして酸を発生させ、その酸が歯を溶かしてしまうことで発生します。
虫歯菌が酸を作り出す原因となる甘味料には、果糖、ブドウ糖、ショ糖などがありますが、その中でも、砂糖の主成分であるショ糖は、最も虫歯菌を活性化させるといわれています。
人工甘味料は砂糖と違って、虫歯菌がエサにすることができず、酸を作り出すことができないため虫歯の原因になりにくいのです。
２．歯科の観点から見た人工甘味料のメリットと注意点
人工甘味料は、多くの食品や飲料に使用されており、低カロリーの代替品としても広く知られています。
しかし、歯科の観点から見ると、メリットと注意点があります。それでは、人工甘味料の歯科への影響についてお話しします。
①人工甘味料のメリット
・カロリー制限と体重管理
人工甘味料は、非常に甘い味を持ちながらカロリーが低く血糖値への影響も少ないため、ダイエットや体重管理を目指す人にとっては有用です。
砂糖の代用として人工甘味料を使用することで、カロリー摂取を制限しながら甘味を楽しむことができます。
・虫歯予防
一部の人工甘味料は、砂糖よりも虫歯のリスクを低減する特性を持っています。
これは、人工甘味料が細菌のエネルギー源とならず、虫歯を引き起こす酸の生成を抑制するためです。
虫歯リスクを抑えながら甘味を楽しむことができるため、口腔の健康維持に効果的といえます。
②人工甘味料の注意点
・口腔乾燥
人工甘味料の一部の種類には、口腔乾燥の原因となる可能性があります。
口腔乾燥とは、唾液の分泌不足を指します。
唾液は口腔内の自浄作用や酸中和作用を担っており、唾液の減少は虫歯や口臭のリスクを高めることがあります。
そのため、人工甘味料を多量に摂取する際には、十分な水分補給や唾液分泌への刺激を意識する必要があります。
・心理的依存
人工甘味料は甘さを感じるための脳の反応を刺激します。
これにより、過剰な摂取や甘味料への心理的依存が生じることがあります。
過度な人工甘味料の摂取は、全身の健康への悪影響を及ぼす可能性があるため、適切な範囲での使用が重要です。
③歯への影響
人工甘味料はカロリー制限や虫歯予防の観点からは利点がある一方で、口腔乾燥により虫歯のリスクを高める可能性や心理的依存には注意が必要です。
バランスの取れた食生活と適切な歯科口腔ケアを行いながら、人工甘味料の使用を検討しましょう。
定期的な歯科検診と歯磨きを怠らず、口腔の健康を維持することが大切です。
３．歯科の観点から見たキシリトールの効果
キシリトールについてみなさんはご存知ですか？
ほとんどの方が聞いたことのある成分だと思いますが、一体どんな特徴があるのか、なぜおすすめしたいのか、歯科の観点から見た効果と注意点についてお話ししていきます。
①キシリトールとは
キシリトールとは、人工甘味料の一種である糖アルコールのひとつで、厚生労働省が人体に安全であることを認めている食品添加物です。自然界でも果物や野菜に多く含まれています。
例えば、いちご100g中には約300mgのキシリトールが含まれています。
ガムやタブレット、お菓子などで目にするキシリトールは、白樺(シラカバ)や樫(カシ)などの木を原料にして作られているものがほとんどですが、自然界にあるキシリトールも工業的に作られたものも、成分に差はありません。
キシリトールは、溶ける時に周りの熱を奪うため、口の中で冷たい感覚があります。
この特徴から、夏用の衣類や寝具、化粧品などにも使われています。
②キシリトールの効果
キシリトールは、代用甘味料としてだけでなく、歯科の観点からも注目されている成分です。
その特性により、虫歯予防や口腔の健康促進に役立つとされています。
それでは、キシリトールの利点と効果について詳しくご紹介しますね。
③虫歯の原因にならない
キシリトールは、口腔内にいる細菌が利用できない糖であるため酸は全く産生されず、虫歯の原因になりません。
また、キシリトールには、プラーク中の酸をできにくくする作用に加えて、アンモニアの濃度を上げることで酸の中和を促進する働きもあります。
さらに、キシリトールは砂糖と同等の甘味度で甘みが強いため、唾液分泌が刺激され唾液が出やすくなります。
唾液が増えることで酸を中和させ、口腔内の酸性度を抑えます。
④虫歯予防の効果
キシリトールは、一部の細菌の成長を抑制する効果があります。
特に、口腔内に存在する中でも虫歯を引き起こす大きな要因といわれているストレプトコッカスミュータンス菌の増殖を防ぎ、酸産生を減少させることが報告されています。
また、キシリトールが唾液の分泌を促進することで、口腔内の自浄作用を高め、虫歯の予防に効果的です。
⑤歯の再石灰化促進
キシリトールを摂取することで、歯の再石灰化を促進することができます。
再石灰化とは、虫歯などによって損傷を受けた歯のエナメル質を回復させる機能であり、キシリトールはこの機能を助ける役割を果たします。
糖アルコールとカルシウムの複合体が歯の硬組織に入り込み再石灰化を促進することで、歯を硬くしてくれるのです。
定期的な摂取により、歯の健康状態を維持し、歯の強度を向上させることができます。
⑥口臭防止
キシリトールは、口腔内の細菌の増殖を抑制するため、口臭の原因となる細菌の繁殖を抑える効果があります。
また、唾液の分泌を促進することで口腔内の状態を改善し、口臭の発生を軽減することが期待されます。
⑦虫歯菌の母子感染予防
生まれたばかりの赤ちゃんの口腔内にはミュータンス菌はいません。
歯が生え始めると、触れ合う機会の多い大人から唾液を介して感染します。
周りの大人の虫歯リスクが赤ちゃんの虫歯リスクに影響するということです。
虫歯菌が多く口腔内に存在している母親が、妊婦中からキシリトールを摂取し続けて、細菌の抑制をすることで、生まれてくる子のお口の中にミュータンス菌が定着する時期が遅くなり、虫歯になりにくくなることが明らかになっています。
⑧キシリトールとミュータンス菌
キシリトールには、虫歯にならないという利点だけではなく、虫歯の発生・進行を防ぐという、他の甘味料にはない特徴があります。さらに、キシリトールを3ヶ月以上継続して摂取し続けると、虫歯の大きな原因であるミュータンス菌の活動を弱める働きがあることも研究結果として分かっています。
ミュータンス菌の活動が弱まると酸の産生が少なくなるだけでなく、プラーク量も減少します。
プラークの量が少なくなって粘着性も低くなると、歯ブラシで清掃しやすくなり、結果として虫歯のリスクを下げることができるのです。
このような働きは、他の甘味料には見られないキシリトール特有の効果といえます。
⑨キシリトールの注意点
キシリトールは、歯科の観点からもその効果と利点が認められている成分です。
虫歯予防や口腔の健康促進を目指す方にとって、有用な選択肢と言えるでしょう。
一方で、キシリトールは、摂りすぎると消化不良やお腹がゆるくなる、下痢などの原因になる場合があるため、適切な量を守ることが重要です。
また、虫歯予防効果を十分に得るためには、ガムやタブレット中に高濃度でキシリトールが含まれていることや他の糖類が含まれていないことも大切です。
適切な摂取量と注意点を守りながら利用することで、健康な歯と口腔環境を維持しましょう！
４．まとめ
人工甘味料は、歯科の観点から見ると虫歯予防に有用で、口腔内の健康維持に効果的な成分であるといえます。
特にキシリトールのガムやタブレットは、お菓子を食べるような感覚で虫歯予防ができること、天然由来の甘味料なので妊娠中や糖尿病の方にも副作用の心配がなく安心して使用できること、が魅力です。
バランスの取れた食生活と適切な歯科口腔ケアを行いながら、キシリトールやその他人工甘味料を活用しましょう。
さらに、定期的な歯科検診で口腔の健康を維持することも大切です。
甘味料と上手く付き合って、大切な口腔内とお身体の健康を守っていきましょう！
当院ではキシリトール100%ガムも取り扱っておりますので、ご興味があればぜひお気軽にお声掛けください。
お口のケアには、兵庫県西宮市にある、医療法人社団 西宮北口ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科に是非お越し下さいね。
