こんにちは。兵庫県西宮市にある医療法人社団 西宮北口ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
昔と比べ、虫歯を有する人の割合はどのように変化しているのでしょうか。厚生労働省が行った歯科疾患実態調査によると、5〜34歳までは1993年以降虫歯を有する人の割合が減少しています。
しかし、35〜64歳までは虫歯を有する人の割合は1993年とあまり変化はなく、65歳以上では増加している状況です。また、依然として歯が抜ける原因の3割は虫歯によるものといわれています。歯の健康を保つためには、成人になったあとも虫歯予防を継続して行う必要があることがおわかりいただけるのではないでしょうか。
今回は、虫歯予防に効果のあるフッ素について解説したいと思います。
参照元:厚生労働省「令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要」
もくじ
虫歯予防にフッ素が効果的な理由
虫歯予防としてフッ素がよく使用されますが、なぜフッ素には虫歯の予防効果があるのでしょうか。以下に、フッ素が有効な理由をまとめてみました。
再石灰化の促進
私たちのお口の中では、歯が溶ける脱灰(だっかい)と溶けた歯を修復する再石灰化(さいせっかいか)が常に起こっています。この脱灰と再石灰化のバランスが崩れ、脱灰が進行すると溶けた歯が戻らなくなり、虫歯の原因になるのです。
フッ素は、溶け出した歯の成分を引き付ける作用があり再石灰化が促進されるため、虫歯予防に効果があります。
歯が強くなる
歯はハイドロキシアパタイトと呼ばれる成分で構成されており、フッ素を塗ることでこの成分がフルオロアパタイトと呼ばれる特殊な結晶に変化します。
フルオロアパタイトは細菌が出す酸に強いため、虫歯になりにくい歯になるのです。
細菌の酸の産生を抑制する
歯の表面に細菌が付着すると、プラークと呼ばれる細菌の塊が形成されます。プラークに含まれている細菌がお口の中の糖分を分解することで酸を産生し、この酸が原因となり脱灰が進み歯が溶けるのです。
フッ素がプラークに取り込まれると細菌が酸を産生する作用が抑制され、その結果、虫歯を予防することができます。
歯科医院でのフッ素塗布の流れ
次に、歯科医院でのフッ素塗布の流れについて説明します。
①歯の清掃
フッ素をきちんと歯の表面に塗ることができるように、歯の表面の汚れを専用の機械で取り除きます。
②フッ素の塗布
フッ素の塗布を行う前に歯の表面を乾燥させ、そのあとに歯の表面にフッ素を塗ります。
歯にフッ素を塗布する方法は、主に3つあります。
1つ目は、歯ブラシ法と呼ばれる方法です。歯ブラシ法では歯ブラシにフッ素を付け、ブラッシングを行うことによって歯全体にフッ素を塗布します。
2つ目は、綿球法です。綿球法では丸く丸めた綿にフッ素を染み込ませ、これを歯全体に塗布します。
3つ目は、トレー法です。トレー法では歯の型取りで使用するような形のトレーの中にフッ素を入れ、これを歯に密着させることでフッ素を塗布します。
③注意点の説明
フッ素を塗布したあとは、注意点の説明を行います。フッ素を塗ったあとにうがいや飲食を行うとフッ素が流れてしまうため、フッ素塗布を行ってから30分ほどは、うがいや飲食は控えるようにしましょう。
フッ素塗布はどれくらいの頻度で受けると効果的?
一般的に、フッ素の効果は約3か月持続するといわれています。そのため、フッ素塗布は3か月に1回の頻度で行いましょう。虫歯になりやすい傾向がある人は、2か月に1回程度が理想的です。
1か月以内に高濃度のフッ素塗布を何回も行うと「フッ素症」になることがあります。フッ素症になると、歯の表面に白色の模様などがみられるようになるため注意しましょう。
毎日の歯磨きにフッ素を取り入れるときのコツ
ここまででフッ素について説明しました。では、日常生活においてどのようにして毎日の歯磨きにフッ素を取り入れればよいのでしょうか。以下に歯磨きの際にフッ素を取り入れるコツについてまとめてみました。
高濃度のフッ素が入っている歯磨き粉を選ぶ
現在、販売されているほとんどの歯磨き粉にはフッ素が含まれています。
しかし、歯磨き粉に含まれているフッ素の濃度はさまざまです。以前までは、日本で販売されている歯磨き粉のフッ素濃度の上限が世界基準に比べて低く設定されていましたが、2017年以降はフッ素濃度の上限が世界基準の濃度にまで引き上げられました。
高濃度フッ素を含む歯磨き粉を選択する際は、上限に近い1,400〜1,500ppmのフッ素濃度のものを選びましょう。
うがいを控える
高濃度フッ素が配合される歯磨き粉でブラッシングを行なったあとにうがいを繰り返すと、フッ素成分が流れてしまうことがあります。
フッ素の効果を発揮するためには、一定濃度のフッ素成分をお口の中に残す必要があります。そのため、ブラッシング後はうがいはなるべく行わず、唾液を吐き出す程度にしましょう。
就寝前に歯磨きを行う
就寝中は唾液が減少するため、虫歯になりやすい傾向にあります。
就寝前にフッ素が配合された歯磨きで歯を磨き、虫歯をしっかりと予防しましょう。
フッ素洗口液(マウスウォッシュ)の使用
フッ素洗口液は、比較的低濃度のフッ素を含んだ洗口剤です。この洗口剤で、ぶくぶくうがいを何回か行うことで、歯に直接フッ素を作用させることができます。
洗口頻度は毎日法と週1法がありますが、薬品によって異なるため、洗口液を使用する際は頻度や用量などを確認しましょう。
フッ素配合ジェルの使用
フッ素配合ジェルは、フッ素をお口の中に長く残すように作られたものです。
フッ素配合ジェルは歯磨き粉と異なり、お口の中を泡立てる成分である発泡剤や歯に付着した色素を取り除きやすくする成分である研磨剤が入っていません。そのため、歯磨き粉を使用できないお子様に対して、フッ素配合ジェルは有効です。
使用方法としては、まずは歯ブラシで通常通りブラッシングを行います。そのあと、フッ素配合ジェルを歯ブラシに付け、ジェルが全体に行き渡るように磨きます。ブラッシング後30分間はうがいを控えて、フッ素がお口の中に残るようにしましょう。
患者様の声
息子・娘の治療でお世話になっています。院内は清潔感がありとてもおしゃれでありながら、こどもと過ごしやすい空間になっており、とても居心地がいいです。院長先生・スタッフの方々もとても優しく、親身で治療も丁寧にしてくださいました。
娘に「初めての歯医者さんデビュー(虫歯治療)どうだった?」と感想を聞いてみると「たのしかった!」と、まさかの言葉。終始こどもが退屈しないように楽しませてくださいました。
スタッフの方も歯磨きの仕方などとても丁寧に説明してくださり、私自身もとても勉強になっています。お陰様で安心して通えますし、今後もお世話になります。
定期検診で来院させていただきました。院内はとてもきれいで広く、清潔感があり、先生やスタッフの皆さん丁寧に優しく対応していただきました。
自分が不安に思っていることや伝えていないところにまで気づいていただいて、もし虫歯などで治療しないといけないときがあればお願いしたいと感じました。施術もまったく痛みなく気持ちよかったです。次の定期検診も通わせていただきたいと感じました。またよろしくお願いします。
まとめ
今回は、虫歯とフッ素について解説しました。
お口の中では、歯を溶かす脱灰と溶かした歯を元に戻す再石灰化が常に起こっています。この脱灰と再石灰化のバランスが崩れてしまい、脱灰が進行すると歯に穴が空き、虫歯の原因になるのです。
フッ素は、歯の再石灰化を促進することで虫歯を防止します。そのほかにも、歯の構成成分を虫歯になりにくい成分へ変化させたり、虫歯の原因菌の酸の産生を抑制させる作用があります。
フッ素の塗布は、3か月に1回の頻度が理想的です。また、日常の口腔ケアにおいて、フッ素を多く含んだ歯磨き粉やフッ素洗口液などを用いることでより効率的に虫歯を予防することができます。
フッ素塗布を検討されている方は、兵庫県西宮市にある医療法人社団 西宮北口ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科にご相談ください。小道俊吾